「間違うことは上達の鍵」

Chizuko COLUMN 話英楽の道 ~わえらのみち~

滞在も終盤に差し掛かったころ、私はあることに気づいていました。同日に入学したブラジル人の男性にいつの間にか抜かされてる!ということです。

 当時大学生の私は、多少なりとも英語の単語や文法を知っていましたし、日本でも英会話スクールに通って準備していました。そんな私と同じクラス(同じレベルと判断された)に入学した彼の英語はお粗末なものに見えました。彼と話す時には、「何を言いたいのかな?」と想像力を働かせる必要があったと記憶しています。同じクラスだと発表された時、「ええ?それはないやろ~。私の方がだいぶましやで」と思ったのも。

 ところが何週間かすると、彼はメキメキと上達し、あっという間に「抜かされたな」と思うようになりました。何故だと思います?答えは簡単。彼はすごいお喋りだったから。これだけ。話している英語は間違いだらけでも彼はずっと話しているんです。そうすると、周りからヒントがもらえるんですよね。「それってこう言いたいの?」とか「こう言った方がいいよ」とか。私がちゃんと話そうと頭で色々考えている間に彼は間違った英語を話して、そしてヒントをもらって、上達していったのです。日本で居る時には、ちゃんと話せているか気にしてない、と思っていた私。彼を見て、いかに自分が「ちゃんと話す」にとらわれているのかに気づかされました。同じ時間を過ごしているのに、成果がそれだけ違うのはもったいないでしょ?それで思い知ったのです。ちゃんと出来ているのか判断出来るくらいならもっと英語話せるのだから、それを気にするのはやめようと。

 とは言っても、いままで培ってきたものはそう簡単にはなくなりませんけれどね。今までは「気にせず話せている」と思っていたものを、「もしかしたら気にしているのかも」と思ったら、どうなったと思います?自分で「あ!今気にしてる!」と気づく瞬間が出てきたのです。それに気付き始めたら、後は「まあええわ。言ってみよ。」と一歩踏み出せるかどうか。

 「ちゃんとしなきゃ」にはそろそろお休みをあげましょう。そして「とにかく言ってみる」という新しい洋服の袖に手を通しませんか。

 今日のポイント「間違うことは上達の鍵」

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