ルールは大切、でも例外もいっぱい

Chizuko COLUMN 話英楽の道 ~わえらのみち~

英会話スクールの営業をしていたある日のこと。1人の外国人講師が私たち日本人スタッフに対して怒っていました。彼が怒っていた理由はこれ。「You guys call each other,”-san”. But you all call me just Tom(君らは、“さん”ってお互いを呼ぶのに、僕のことはトムってだけ呼ぶよね)」。私はたいてい外国講師と初対面の際に「Please call me Chizuko(チズコって呼んでね)」と言っていました。そうすると、相手も何と呼ばれたいか言ってくれるのです。その結果、同僚の外国人講師とはfirst nameで呼び合っていたのですが、彼はそうではなかったようで。それからは、彼を「Tomさん」と呼ぶようにした訳です。

 このことで思い出したのが、オーストラリアでの出来ごと。ホストマザーのリーランと車に乗っていた時、私は暑かったので、「Can I open the window?(窓あけてもいい?)」と聞いたのです。そこで、リーランは私に言いました。「私はあなたよりも年上なの。だから、May Iって言った方がいいわね」。当時の私の英語力では完全に全ての英語は理解出来ませんでしたが、こんな感じのことを言われたのです。

これは私が思っていた英語のルールと違いました。May Iという表現はとても丁寧で、家族間では使わないと思っていたのです。そして、別の日。友人のホームステイ先に遊びに行った時のことです。友人のホストファミリーは70代のご夫婦でした。そこで、お手洗いに行きたくなった私はこう言ったのです。「May I use the bathroom?(お手洗いをおかりてもいいしょうか?)」。そうしたら、今度はこう言われました。「あなたは私の家族の友達。それはあなたは私の家族ってことなの。だから、can Iって言えばいいのよ」と。私の頭の中は「えええ。全然言ってること違うやんか~。どっちやねん。」という感じでした。

 私が勉強して、そういうものだと思っていたルールは、英語の世界では出会ってすぐにfirst nameで呼び合うものだということ。そして、May Iはとても丁寧だから親しい人には普通は使わないということです。

 考えれば、感覚は人それぞれなので違うことがあっても当たり前なのですけれど。本を読んだり、先生に習ったりして、「こうだ!」と思っていることと違うこともたくさんあるんですよね。そのことは意識していませんでした。当たり前ですけどね。本に書いていること、先生がいうこと、全てのことに例外があると気がついた出来事でした。

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